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良寛「君看雙眼色 不語似無憂」の典拠について

良寛の書に「君看雙眼色」「不語似無憂」という双幅の作品がある(何必館蔵)。
「君看雙眼色 不語似無憂」は、白隠慧鶴『槐安国語』に出典を求めることができる。
ただし、『槐安国語』では「憂」の字が「愁」となっている。

千峯雨霽露光冷 ○君看雙眼色。不語似無愁
月落松根蘿屋前 ○眼中無見刺。耳裏絶聞塵
擬寫等閑此時意 ○若識琴中趣。何勞絃上聲
一溪雲鎖水潺潺 ○莫嫌襟上斑斑色。是妾燈前滴涙縫
(白隠慧鶴『槐安国語』巻五第八則「三界無法」)

このように「君看雙眼色 不語似無愁」は、「千峯雨霽露光冷」からはじまる偈頌に対して加えられた白隠の著語にあたる。
『槐安国語』は宗峰妙超(大燈国師)の語録に対して白隠慧鶴が著語・評唱を加えた書であり、この「千峯雨霽露光冷 月落松根蘿屋前~」の偈頌も『大燈国師語録』の中に見える。

盤山垂語云。三界無法。何處求心。

千峯雨霽露光冷
月落松根蘿屋前
擬寫等閑此時意
一溪雲鎖水潺潺
(宗峰妙超『大燈国師語録』「頌古」)

ここでいう盤山は、馬祖道一の弟子にあたる盤山宝積のことで、「三界無法 何處求心」は、圜悟克勤『碧厳録』に見える頌の一部である。(もちろん、上に示した部分は『槐安国語』にも取り上げられ、白隠の評唱が加えられている。)

三界無法
何處求心
白雲爲蓋
流泉作琴
一曲兩曲無人會
雨過夜塘秋水深
(圜悟克勤『仏果圜悟禅師碧巌録』第三十七則)


『槐安国語』の「君看雙眼色 不語似無愁」について、道前宗閑訓注『槐安国語』(禅文化研究所、二〇〇三)は、明暦三年(一六五七)刊行『句双葛藤鈔』(『宗門葛藤集』)にこの語が収められていると述べる。これを信じるならば「君看雙眼色 不語似無愁」は白隠(一六八五~一七六八)以前に出典が求められるということになろう。


なお「君看雙眼色~」は良寛の他に、芥川龍之介が第一短篇集の『羅生門』(阿蘭陀書房、一九一七)の扉に引用したことでも知られる。(近代デジタルライブラリー:『羅生門』
良寛との関連性を指摘されることもあるが、『羅生門』では「愁」の字が使われていることからも、良寛書からの直接の引用とは考えにくい。
  1. 2012-03-19 Mon 19:47|
  2. 文学

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