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「孬」、「アレレ」?

字書を見ていたら「孬」という字が目についた。
見たことのない字だと思って調べてみると、今昔文字鏡の「玉篇読み」の項に「アレレ」とある。ここでいう「玉篇読み」とは、「近世以降の各種『玉篇』から27,900字の読み情報」を収録したものだという。「孬」を「アレレ」と訓むのは何故か。そもそも「アレレ」って何。
気になったので調べてみた。

「孬」は見慣れない字だが、『大漢和辞典』や『漢語大詞典』には収載されている。『大漢和辞典』は『字彙』の「孬、不好也」を引いて「みにくい」の意とする。それにしても「不好」とは、見たまんまである。『漢語大詞典』は方言としている。意味としては「不好」に加え、「怯懦、無能」を挙げる。気弱で何も出来ない、といったところか。
なおこの字、古辞書の類にはほとんど収載されていない。確認できた中では『四声篇海』が最も古く、その後は『字彙』、『正字通』、『康煕字典』等に見える。ただし、『四声篇海』は反切を示すのみで、「不好」といった字義が載せられるのは『字彙』より後のようだ。

はて。「アレレ」の訓に結びつかない。直感的に判断すれば、「アレレ」は感動詞である。「不好」なものを目にした時に思わず発する言葉、というならまだわかるが、「孬」の訓義としてそれは考え難い。

「玉篇読み」の出典にあたる必要がある。日本の近世以降の『玉篇』類を見ていたら、すぐに謎が解けた。
これの下段五行目(※1)。
「アシヽ」とある。「アレヽ」じゃない。今昔文字鏡の「玉篇読み」が誤りだったようだ。おそらく、シをレと見間違えたのだろう。「アシヽ」(悪しし※2)ならば、「不好」に適っている。
わかってみればあっけないもので、拍子抜けしてしまった。


※1
中野煥『四声玉篇和訓大成』、1792年刊。画像は早稲田大学古典籍総合DBより。

※2
「悪し(あし)」と同じ。中世以降、「悪しし(あしし)」のようなシシ語尾形容詞が見られる。
  1. 2014-04-26 Sat 05:29|
  2. 文学

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