スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. -------- -- --:--|
  2. スポンサー広告

『放課後探偵団』 読書メモ

書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー 放課後探偵団』(創元推理文庫、2010年)。
五人の若手ミステリ作家による書き下ろし短篇集。
①似鳥鶏、②鵜林伸也、③相沢沙呼、④市井豊、⑤梓崎優

なんだか辛口になってしまったけれど、どれもおもしろかった。
以下感想。

①「お届け先には不思議を添えて」
手順が複雑でついていくのが大変だったけど、わかってみればなるほどと思った。ただ、こんなことを考えて実行するなんてかなり現実離れしているような。推理されるための事件、という印象を受けた。日常の謎系ミステリの真相は、ここでそんな手順をふむ必要はあったのかと思うような異常な行動であることが間々ある。日常であるからこそ、異常さが浮いて見えてしまう。推理されるべきものとしての不自然さを極力感じさせず、描かれた日常の中に置いてそれを納得できるだけの必然性が設定できるかどうかに、この種の作品の成否(ミステリである以前に小説としての)はかかっているのではないか、と思った。

②「ボールがない」
最後の一頁(と前頁末五行)が、それまでの堅実な展開を崩してしまっていると感じた。推理対象としての異常性が日常によく溶け込んでいて、真相も必然性が感じられる行動であるだけに、その点がちょっともったいないと思ってしまった。

③「恋のおまじないチンク・ア・チンク」
『午前零時のサンドリヨン』を読んでいたこともあって大変ニヤニヤできた。チンカチンクは自分も小学生の頃に、小石やチョークの欠片を使ってやっていたので、懐かしく読んだ。ただ、問題の事件の真相については①と同様の感想をもった。

④「横槍ワイン」
推理の経過は面白かった。真相はもう少し何とかならなかったのかな、と思う。それから、電話の人が登場する必要はあったのだろうか。これも著者のシリーズの登場人物らしいので、それを知っていれば理解できるのかもしれない。

⑤「スプリング・ハズ・カム」
この短篇集のなかでは一番好き。解説に「小説としての完成度を重んじる梓崎さんらしい」と評されているが、まさにその通り。ミステリとしては或る一点について、認められない人がいるかもしれない。個人的にはその点がこの作品の良さだと思う。推理の経過も良い、小説としての全体も良い。


全体として、日常の謎系ミステリの難しさとそれが成功した時の良さとが、よくわかる短篇集だった。上にも書いたけれど、事件を起こす基盤としての日常性に、推理対象であるかぎりは免れ得ない異常性が調和しているかどうか、その点がこのジャンルの肝であると感じた。
  1. 2014-06-11 Wed 16:28|
  2. 読書メモ

<<新しいエントリ| トップ | 古いエントリ>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。