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読んだ小説の感想(2014年8月分)

8月分の読書メモ。

桜庭一樹 『赤×ピンク』
ダグラス・アダムス 『銀河ヒッチハイク・ガイド』
井上靖 『天平の甍』

……の3冊。

桜庭一樹『赤×ピンク』(角川文庫)
キャットファイトに身を投じる女性たちの話。一章ごとに主人公が変わり、登場人物それぞれの抱える問題が掘り下げられる。そうした話の筋自体はごく現実的で、女性たちの人物像はつかみやすい。一方、男性陣の人物造型はごく浅く、抽象的なキャラ付けに留まる。この点はかなり徹底していて、男性は皆NPCか何かのように思えるほど。そのことと場の設定とが相俟って、現実的な話でありながら非現実的な印象、秘儀めいた空気が全編に漂っている。

ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』(安原和見訳、河出文庫)
コメディSF。いちいち言い回しがおもしろい。SFとしてもなかなか壮大な発想で、はっとさせられる展開も多い。コンピュータが出した答えは意味不明だったけれど、答えを聞いて意味がわかるとしたら、そもそもあんなコンピュータは不要なのかもしれない。答え自体は真理ではなく、答えの意味するところが真理ということか。

井上靖『天平の甍』(新潮文庫)
分乗して誰かが生き残れば……という栄叡の考え方を思い出して胸がつまる。きっと栄叡は、この結末をハッピーエンドだと思ってくれるだろう。もちろん、失われたものは大きい。特に普照が幻視した光景には、悶えずにいられない。ちょうど『薔薇の名前』を読んだ時のように、書物の失われゆく様が、絶望的に、しかし大変美しく目に浮かんだ。あれはたしかに悲劇だが、史実としての空海の存在に読者は救われる。伝えようとする人が現れ続けたからこそ伝わったのだ、と思えるから。「時を隔てた分乗」と、栄叡なら言うかもしれない。
  1. 2014-09-01 Mon 15:30|
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