スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. -------- -- --:--|
  2. スポンサー広告

読んだ小説の感想(2014年10月分)

10月分の読書メモ。
いろいろ忙しかったり他に読まねばならない本が多かったりで少なめ。

米澤穂信『さよなら妖精』
阿川弘之『雲の墓標』

……の2冊。

米澤穂信『さよなら妖精』(創元推理文庫)
ミステリ要素だけを見ればこれも「日常の謎」系だが、主題はそこにはない。マーヤによって見出された謎を通して具体化する此方の日常は、遂に具体化することのない彼方の日常、その非日常性を際立たせ、両者を隔絶する。日常の謎は日常を描くための、日常は非日常と対照されるための、装置としてある。此方と隔絶された彼方、非日常としか思えない彼方の日常。最後の謎も、此方にとってのそれでしかなく、結局は彼方の非日常を具体化する力を持たず、日常の謎の域を出ない。日常の謎に終始することが、悲劇的な結末のどうしようもなさを高めている。

阿川弘之『雲の墓標』(新潮文庫)
本作品は国文学者吉井巖氏の戦時中の日記をもとに書かれたという。どの程度、実際のそれを反映しているのだろう。吉井氏の初期の論文には「雲」に関するものが多い。本作品に見られるような「雲」の印象が実際にあって、このテーマに取り組むきっかけとなったのだろうか。「はじめて空から南九州の海山をながめて、巻三の長田王、「隼人の薩摩の迫門を雲居なす遠くもわれは今日見つるかも」という感慨をおぼえた」(旧版p.64)といった言葉は、実際の日記にもあるのだろうか。論文は自己の経験を語らない。だからこの小説に想像を掻き立てられる。
  1. 2014-11-01 Sat 00:38|
  2. 読書メモ

<<新しいエントリ| トップ | 古いエントリ>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。